問題をやってない人は先に読まないで下さい。
とても簡単で、よく考えると難しい問題でしたね。
「マンテカ」 7ページ、カプースチン番号「2」。
「ヴァンプ 2」 17〜18小節を見て下さい。
<問題>
「第1ピアノ」 17小節目、
3拍目裏、4拍目裏、このコードは何でしょう。
コード・ネームは…?
<解答>
前後は「B♭7」(トニック)ですから
すぐ頭に浮かぶのは「F7」(ドミナント)ですよね。
その証拠に「ラ、♭ミ」=「3,♭7」があります。
「何だ、簡単な問題だね」と思ってはいけません。
実は、ここからが問題なのです。
「F7」と決定するには、
ベースに「F音」がないといけません。
ところが、ここには「ルート」(根音)がない。
「B♭7」が続いている中で一瞬弾くコードですので
ベースは「B♭音」のペダルなんですよね。
そうすると、問題のコードのコード・ネームは?
ひょっとすると、代理コードの「C♭7」かもしれない?
つまり「裏コード」の可能性も…?
どちらにしても「ルート」はないのですからね。
微妙な問題になってくるのです。
しかし、ジャズ理論に詳しいあなたは、
次のように言うかもしれません。
「もし、C♭7 なら、
コード・トーンは、<♭ド、♭ミ、♭ソ、♭♭シ>で
<3、♭7>は<♭ミ、♭♭シ>なので…」
あなたは、さらに続けて結論を言うでしょう。
「ここは<♭♭シ>ではなく、<ラ>ですから、
やはり<F7>でいいのではありませんか」と…。
そうです、そうです、あなたは素晴らしい!
ルートがないコードを判定する場合、コード進行の
前後関係や、たった1音をヒントに考えるのです。
ですから上記の意見は正しいのです。
と言うことは、正解は「F7」…?
普通なら、そうですね。ここで話は終わります。
ところが、トトロが、あ!打ち間違えた!
ところが、ところが、この話、ドン伝返しがあります。
その答とは…?
「カプースチンは、優しい人だった」
ということです。
「何のこっちゃ〜!意味わからん?」
〜 〜 ☆ 〜 〜
わかるように説明しましょう。
<♭♭シ>が理論的に正しくても、
ほとんどの人には、分かりにくいですよね。
そこで、優しいカプースチンは、
実音「ラ」で書いてくれたのです。
その証拠を見せましょう。
8ページ、27小節目を見て下さい。
第2ピアノ、右手2拍目に「♭ド」がありますから、
第1ピアノ、1拍目裏にあるコードは「C♭7」です。
コードの1番下は「ラ」で書いてありますよね。
29,31,33小節も調べましょう。
という訳で、今回の問題の正解は
「C♭7」でいいのでは…?
正確に書くなら
「C♭7 (Bass B♭) 」ですね。
しかし、ルートがないので
「100%正しい」とは言えませんけれど。
この曲では「C♭7」が多く出て来るので、
「多分そうでしょう」と思うのです。
ただ、「F7」と「C♭7」、どちらにしても、
「ドミナント」が使われているのは間違いない。
☆
大変長くなりましたが、これで話は終わりです。
と言いたいところですが…。
実は、まだ続きます。