2009年12月22日

「マンテカ」徹底分析(18)

謎の「C♭7」について連続3回(第15〜17回)
書いてきましたが、今回で「C♭7」の話をまとめ、
次回から先に進む予定です。

初めて読む方は、15回目から順に読んで下さい。

            ☆

なぜ「F7」の代理コードで「C♭7」が使えるのか?

以前、書きましたが復習しましょう。

ドミナント♭7コードの機能を決定する三全音
「3、♭7」が共通だからでしたね。

「F7」
1、3、5、♭7=ファ、ラ、ド、♭ミ

「C♭7」
1、3、5、♭7=♭ド、♭ミ、♭ソ、♭♭シ(ラ)

「F7」の「ラ、♭ミ=3、♭7」と
「C♭7」の「♭ミ、ラ(♭♭シ)=3、♭7」が同じです。

          ☆

さらに、もっと面白い(不思議、興味深い)のは、
2つのコードを両方とも(♭5)にすると、コード・トーン
の4音が、まったく同じ構成音になります。

「F7(♭5)」=<ファ、ラ、♭ド、♭ミ>

「C♭7(♭5)」=<♭ド、♭ミ、♭♭ソ、♭♭シ>
ダブル・フラットを実音で書くと
<♭ド、♭ミ、ファ、ラ>

<ファ、ラ、♭ド、♭ミ>と<♭ド、♭ミ、ファ、ラ>です。

まったく同じコードですよね。
それぞれのコードの第2転回型が代理コードになります。
posted by テル先生 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月21日

「マンテカ」徹底分析(17)

前回まで学んでいた「C♭7」ですが、

17ページ、115ページを見て下さい。

第1ピアノ、左手、3拍目裏。

ここでは「♭♭シ」で書いていますね。

2小節後、117小節にもあります。

ところが、このページ最後の小節(123)は
「ラ=A音」で書いていますね。

同じ「C♭7」なのですが…?

さらに次のページ、さらにその次のページにも…。

115小節と123小節のコード「C♭7」を
よく見て比べて下さい。

鍵盤上では同じことなのですが書き方が違う。

統一した方がわかりやすいと思いますが、
何か深い意味があるのでしょうか?

現在の私にはわかりません。
posted by テル先生 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月20日

「マンテカ」徹底分析(16)

今回は、宿題の<解答>ですので、
問題をやってない人は先に読まないで下さい。

とても簡単で、よく考えると難しい問題でしたね。

「マンテカ」 7ページ、カプースチン番号「2」。
「ヴァンプ 2」 17〜18小節を見て下さい。

<問題>
「第1ピアノ」 17小節目、
3拍目裏、4拍目裏、このコードは何でしょう。

コード・ネームは…?

<解答>
前後は「B♭7」(トニック)ですから
すぐ頭に浮かぶのは「F7」(ドミナント)ですよね。

その証拠に「ラ、♭ミ」=「3,♭7」があります。

「何だ、簡単な問題だね」と思ってはいけません。

実は、ここからが問題なのです。

「F7」と決定するには、
ベースに「F音」がないといけません。

ところが、ここには「ルート」(根音)がない。

「B♭7」が続いている中で一瞬弾くコードですので
ベースは「B♭音」のペダルなんですよね。

そうすると、問題のコードのコード・ネームは?

ひょっとすると、代理コードの「C♭7」かもしれない?

つまり「裏コード」の可能性も…?

どちらにしても「ルート」はないのですからね。

微妙な問題になってくるのです。

しかし、ジャズ理論に詳しいあなたは、
    次のように言うかもしれません。

「もし、C♭7 なら、
コード・トーンは、<♭ド、♭ミ、♭ソ、♭♭シ>で
<3、♭7>は<♭ミ、♭♭シ>なので…」

あなたは、さらに続けて結論を言うでしょう。

「ここは<♭♭シ>ではなく、<ラ>ですから、
やはり<F7>でいいのではありませんか」と…。

そうです、そうです、あなたは素晴らしい!

ルートがないコードを判定する場合、コード進行の
前後関係や、たった1音をヒントに考えるのです。

ですから上記の意見は正しいのです。

と言うことは、正解は「F7」…?

普通なら、そうですね。ここで話は終わります。

ところが、トトロが、あ!打ち間違えた!

ところが、ところが、この話、ドン伝返しがあります。

その答とは…?

「カプースチンは、優しい人だった」

     ということです。

「何のこっちゃ〜!意味わからん?」

    〜 〜 ☆ 〜 〜

わかるように説明しましょう。

<♭♭シ>が理論的に正しくても、
ほとんどの人には、分かりにくいですよね。

そこで、優しいカプースチンは、
実音「ラ」で書いてくれたのです。

その証拠を見せましょう。

8ページ、27小節目を見て下さい。

第2ピアノ、右手2拍目に「♭ド」がありますから、
第1ピアノ、1拍目裏にあるコードは「C♭7」です。

コードの1番下は「ラ」で書いてありますよね。

29,31,33小節も調べましょう。

という訳で、今回の問題の正解は

「C♭7」でいいのでは…?

正確に書くなら

「C♭7 (Bass B♭) 」ですね。

しかし、ルートがないので
「100%正しい」とは言えませんけれど。

この曲では「C♭7」が多く出て来るので、
「多分そうでしょう」と思うのです。

ただ、「F7」と「C♭7」、どちらにしても、
「ドミナント」が使われているのは間違いない。

          ☆

大変長くなりましたが、これで話は終わりです。

と言いたいところですが…。

実は、まだ続きます。
posted by テル先生 at 13:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月18日

「マンテカ」徹底分析(15)

今回は、あなたに、また質問しよう。

とっても簡単そうで、
でも、よく考えると難しい。

そんな問題だ。

前回の問題は「B♭7 sus 4 」が答だった。

今回は、
次の小節「B♭7」になったところから…。

7ページ、カプースチン番号「2」。
「ヴァンプ 2」17〜18小節についての質問。

「第1ピアノ」17小節目、

3拍目裏、4拍目裏、このコードは何でしょう。

コード・ネームは…?

これが問題です。

中級者、上級者は、こう言うかもしれない。

「こんな簡単な問題が、なぜ上級なの?」と…。

確かに、そうだよね。

前後は「B♭7」で、その間に入るコードだから、

これを見ればすぐにわかると思う。

でも、ここはルートがない。

「B♭音」のペダルだ。

そうすると、問題のコードのコード・ネームは?

つまり、表か、裏コードで書くか?

微妙な問題になってくるよね。

ヒントは、この小節だけ見ていてもダメなんだ。

この曲、全体を調べること。

カプースチンが問題のコードをどう書いているか?

          ☆

これでわかったでしょう。

簡単そうに見える問題が中級以上ということが…。
posted by テル先生 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月17日

「マンテカ」徹底分析(14)

今回は、宿題の解答編ですので、
前回を読んでいない人は先に読まないで下さい。

まず、前回の問題を自分で考えてから読むと
    勉強になりますし、身に付きますよ。

7ページ、カプースチン番号「2」。
「ヴァンプ 2」14〜16小節についての質問。

すべて「第1ピアノ」に対しての質問です。

では、ここから「解答編」になります。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<14小節目>
右手、1拍目裏のコードは、
下から「♭ラ、ミ、♭シ」ですが、
コード・ネームは「B♭7」ですので、
構成音は「♭7、♯11、1」ですね。

左手、3拍目裏のコード。
コード・ネームは、「B♭7 sus 4 」ですね。

または、「Fm7(Bass B♭)」でもいい。

この押さえ方、本来なら4声で、

「♭ラ、ド、♭ミ、ソ」=Fm7(♭3,5,♭7,9)

ですが、ベースが「B♭」なので、

「Fm7(Bass B♭)」になります。

「♭ラ、ド、♭ミ、ソ」は、
 「A♭M7」じゃないの?と思う人は
   「A♭M7(Bass B♭)」でもいいですよ。

さて、楽譜を見ると4声ではなく3声です。

なぜ、このように弾いたのでしょう?

メロディーの「♭ミ」があるので
ダブらないように省略したのです。

クラシックでは、よくやる方法です。

<15小節目>
左手、2拍目コード。
コード・ネームは、上と同じで「B♭7 sus 4」
  または
「Fm7(Bass B♭)」です。

なぜ、この押さえ方にしたのでしょう?

「♭ラ、ド、♭ミ、ソ」では1番上の音(ソ)が
メロディー音「ファ」よりも高くなってしまいます。

そこで転回型にしたのです。

ちなみに、この押さえ方、
「朝日の如くさわやかに」(キーCm)のサビ
5〜6小節目 |Fm7|D7|で使えます。

ここは、この押さえ方の方が
次の「D7」(3,♭7,♯9)に行きやすいのです。

4拍目裏は何?

ここは、すぐ前に「♭ミ」があるので省略した。
その方がメロディー「ソ」がはっきり聞こえます。

<16小節目>
左手の2つのコード。
コード・ネームは、同じで「B♭7 sus 4 」です。

押さえ方を少し変えているのは、
メロディーに来ている音を省略したのです。
   (14小節目と同じ理由ですね)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここまで理解出来たでしょうか?

コード・ネームは、
14小節目、最初の「B♭7」以外は
すべて同じで「B♭7 sus 4」になります。

人によっては「Fm7(Bass B♭)」と書きます。

では、最後の問題の解答。

<14〜16小節のフレーズは?>

14小節目、2拍目裏から始まり、
16小節目、最後の音までのフレーズは、

「何のコードのフレーズでしょう?」

答は「Fm7」ですね。

そのままジャズのアドリブで使えますよ。

この答(Fm7)が
コード・ネームのヒントになっていたのですね。

「Fm7(Bass B♭)」

つまり「ベースB♭」の上で
左手は「Fm7」のジャズ・コード、
右手も「Fm7」のフレーズを弾いているのです。
posted by テル先生 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月16日

「マンテカ」徹底分析(13)

今回は、
7ページ、カプースチン番号「2」。
「ヴァンプ 2」14〜16小節について,
 こちらから質問しますので答えて下さい。

すべて「第1ピアノ」に対しての質問です。

ここから楽譜を開いて、
  分析に挑戦してみましょう。

<14小節目>
右手、1拍目裏のコードは何?

下から「♭ラ、ミ、♭シ」ですが、
コード・ネームは「B♭7」でいいので、
構成音を答えましょう。

左手、3拍目裏のコード。
コード・ネームは?
この押さえ方、本来なら4声ですが、
なぜ、このように弾いたのでしょう?

<15小節目>
左手、2拍目コード。
コード・ネームは?
なぜ、この押さえ方にしたのでしょう?

4拍目裏は何?

<16小節目>
左手の2つのコード。
コード・ネームは?
押さえ方を少し変えたのは、なぜ?
明確な理由があります。何でしょう?

       ☆

ここまでの質問に答えられましたか?

実は、答は、ほぼ同じ答になります。

コード・ネームは、
14小節目、最初の「B♭7」以外は
すべて同じコード・ネームになります。

ただし人によって言い方が違いますので、
2〜3種類のどれかを答えていれば正解。
(その2〜3種類って、わかりますか?)

「なぜ、この押さえ方?」も同じ理由です。
(15小節目だけは別の理由ですが…)

それでは最後に、もう1つ質問します。

<14〜16小節のフレーズは?>

14小節目、2拍目裏から始まり、
16小節目、最後の音までのフレーズは、

 「何のコードのフレーズでしょう?」

単純にフレーズだけを見て答えましょう?

実は、この答がコード・ネームのヒントに…。
posted by テル先生 at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月15日

目の前にお宝があるよ

前回のリズム訓練やったかな?

あのパターンをピアノに応用すると、
カッコイイ伴奏が沢山作れるんだ。

パターンは同じでも、
音やコード、コード進行を変えると
まったく違うものになる。

ぜひ研究してほしい。

さらにパターンを変えれば、
無限に作れるよね。

つまり左右の手順を変えることだ。

自分なりの手順を考えて、
ピアノで音を付けて弾いてみよう。

カプースチン作品を弾いているだけでは
もったいないと思うよ。

なぜかというと、作曲やアレンジなど
音楽を作るヒントが沢山あるからね。

しかも、それがカッコイイものばかり。

カプースチンを弾ける技術がある人は
それはとても立派なことだ。

でも、弾ける技術がない人も分析して
自分の音楽に応用することも出来る。

カプースチンを弾くことだけでなく、
そんな利用の仕方もあるんじゃない?

昨日のパターンが良い例だよね。

たった2小節のパターンから
無限のアイデアが引き出せるんだ。

ジャズピアノ学習や、即興演奏、作曲、
アレンジなど、アイデアの宝庫なんだ。

目の前に宝物が沢山置いてあるのに、
気付かない人も沢山いると思うよ。

でも、今、この文章を読んだあなたは
「そんな使い方もあるのか」と気付く。

そしたらね、早速やってみるんだよ。

例えば…

<応用課題 1>
2〜4小節の区切りがいい左手伴奏を
繰り返し、右手で即興演奏をする。

<応用課題 2>
分析で知ったジャズコードを別の曲に
応用して使ったり、メロディーを作る。

もっといろんなことが考えられるよね。

自分でも考えて応用課題を見付けよう。
posted by テル先生 at 00:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月13日

「マンテカ」徹底分析(12) 

今回は、楽しい「リズム訓練」をしよう。

パソコンの前で出来るからやってみようよ。

ドラムの人が練習する「パラディドル」だ。

    右手=R 左手=L

左右の指定された手でヒザの上を叩こう。

2小節、ずっと8分音符で続けて叩くこと。

2〜3拍目の間にある空白は、
見やすいように空けてあるので休符ではない。

では、始めよう。2小節を繰り返して練習する。

<課題 1>

|LRLR RLRL|RRRL RLRR|

8ビートのリズムに乗って叩く。
8〜16小節ぐらい続けてみよう。

では、次の課題へ進む。

今度は、最初だけ
 右手が8分音符1つ叩いてから始める。

その後は、2小節を繰り返せばいい。

<課題 2>

(R)|LLRL LRLL|LRLL RLLR|

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうだった?楽しかったでしょう。

実はね、<課題 1>は「マンテカ」第2ピアノ、
10〜13小節(7ページ)のパターンなんだよ。

それから<課題 2>は、
    第1ピアノ6〜9小節のパターンなんだ。

さらに<課題 1>は、
  第2ピアノ、14〜21小節と同じなんだね。
  (14小節1拍目裏だけは第1ピアノが弾く)

早速、今度は、ピアノで弾いてみようぜ。

音が付くとカッコイイよね。

同じパターンなのに
音を変えると別物のように聞こえるのも面白いね。

パターン練習の後では、とても楽に弾けるはずだ。
posted by テル先生 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月12日

「マンテカ」徹底分析(11)

コードに転回型があるように
メロディーにも転回型がある。

「マンテカ」2小節目メロディーのモチーフ
「♭シ、♭ラ、ファ」を例にして説明しよう。

「♭シ→♭ラ」は、長2度下行している。

次の「♭ラ→ファ」は、短3度下行だ。

これを縦にひっくり返してみよう。

長2度下行を長2度上行にする。「♭シ→ド」

さらに、「ド」から

短3度下行を短3度上行にすると「ド→♭ミ」

つまり「♭シ、♭ラ、ファ」の転回型は
「♭シ、ド、♭ミ」になる。

この音程間隔を「♭ラ」から始めると

「♭ラ、♭シ、♭レ」になる。

第1ピアノ、
5小節目メロディー最後の音「♭ラ」から
6小節目「♭シ→♭レ」を、じっくり見てみよう。

これがメロディーの転回型なんだね。

カプースチン作品は無駄がないということだ。
posted by テル先生 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月11日

今日は一息入れようか

「マンテカ」徹底分析も昨日で第10回目。

徹底的にやると、まだまだ数十回も続くでしょう。

そこで今後は他の曲の分析もしながら
のんびり続けようかな?とも考えています。

毎日書いているので、読む方も大変でしょう。

ただ読むだけなら大したことないでしょうが、
 昨日の課題など、確実に身に付けるには、
   本当は何週間(何ヵ月)も掛かります。

特に初心者は、昨日の課題の前にやるべきことが
まだまだ、まだまだ、まだまだ〜〜沢山あります。

しかし、
カプースチンを分析するには中級〜上級ジャズ理論
を持ち出さないと説明しにくいので(仕方なく?)
書いてしまいました。

読者のみなさんがジャズ理論を使いこなせるのは、
まだ先のことですが、今は知識だけでも知っておく。

そのような時期も必要ですからね。

まず知らなければ何も始まりません。

        ☆

そんな訳で今日は、のんびりとしましょう。

予習、復習でもいいですし、別のことをしてもいい。

私も今後のことでも考えようかな?と…。
posted by テル先生 at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月10日

「マンテカ」徹底分析(10)

前回の「リディアン♭7」(スケール)は、

カプースチンを理解する時にとても重要なスケールです。

ジャズ・ピアノ、即興演奏にもよく使います。

「C7」で使う「C リディアン♭7」を例にして説明します。

まず「C」のメジャースケール(長音階)は、わかりますね?

「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」 ですよね。

この長音階の第4音が半音上がると「リディアン」になります。

「ド、レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ」

「C」 「C6」 「CM7」 などで使えます。

さらに、この「リディアン」の第7音が半音下がる(♭7)と、

「リディアン♭7」になるのです。

「ド、レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、♭シ」

「♭シ」がありますので、コードは「C7」の時に使います。

さて、ここからが重要な話になります。

この「リディアン♭7」(スケール)の各音を
1つ置きに3度音程で縦に積み重ねていきます。

「ド、ミ、ソ、♭シ、レ、♯ファ、ラ」になりますね。

すべて「リディアン♭7」内の音で構成されています。

このコードの下4声を左手で、上3声を右手で弾きます。

左手「ド、ミ、ソ、♭シ」=「C7」

右手「レ、♯ファ、ラ」=「D」

「C7」の上に、全音上の「D」が乗っているコードです。

これを両手とも半音下げると、前回のコードになります。

「C♭7」の上に「D♭」ですね。

異名同音で考えて「B7」の上に「C♯」でもいいです。

すべて「リディアン♭7」から出来ています。

これが、カプースチンが大好きなコードの正体です。

ただし、これは基本の話で、実際の左手コードは
 (基本コードではなく)ジャズ・コードを使います。

     ☆          ☆

今回の話は、カプースチンを分析する時や、
 ジャズ・ピアノを弾く時に、とても重要な理論です。

以下の順に課題をしっかり練習して確実に覚えて下さい。

<課題 1>
「メジャースケール」を12キーで弾いて覚えましょう。

<課題 2>
「リディアン」を12キーで弾いて覚えましょう。

<課題 3>
「リディアン♭7」を12キーで弾いて覚えましょう。
posted by テル先生 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月09日

「マンテカ」徹底分析(9)

6ページ(導入部)3小節目の第1ピアノ。

2〜4拍目は何を弾いているのか?

ここのコードは「D♭/C♭7」だったでしょう。

それで「D♭」の「♭レ、♭ミ、ファ、♭ラ」を
弾いている。

では、第2ピアノ、3小節目の4拍目から
5小節目の最後の音までのスケールは何?

スケール名で答えて下さい。

そして実際のスケール音を下から順に言うと?

分析して、ちょっと考えてみましょう。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ジャズ・ピアノ、ジャズ理論を学んだ人なら
すぐにわかりますね?

X7(ドミナント)の代理コードである
          「♭U7」のスケールは?

正解は 「C♭ リディアン♭7」 ですね。

下から
「♭ド、♭レ、♭ミ、ファ、♭ソ、♭ラ、♭♭シ」
        ですが、
「ダブルフラットのシ」は実音「ラ」で
       わかりやすく書いてくれたのです。

「♭ド、♭レ、♭ミ、ファ、♭ソ、♭ラ、(ナチュラル)ラ」

このスケールを中心に、途中だけ「半音階」を混ぜて
使っていますね。

スケールの7音を1つおきに取っていくと、

「♭ド、♭ミ、♭ソ、♭♭シ」になり、

「C♭7」のコード・トーン(1,3,5,♭7)

  になっていますよね。

ジャズ理論を学んでいると
     カプースチンを理解出来ます。

逆にカプースチンから学んで
    ジャズ・ピアノに応用出来ます。

今度、ジャズで、♭U7が出て来たら〜?
posted by テル先生 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月08日

「マンテカ」徹底分析(8)

6ページ(導入部)2小節目の続きです。

4拍目のコードを見て下さい。

これは「C♭7」ですね。

「マンテカ」のキーは「B♭」ですから、
    ドミナントは「F7」。

「F7」の代理コードが「C♭7」です。

第1ピアノ、右手コード、上3声に注目。

1番上から「♭ラ、ファ、♭レ」ですね。

これは、コードで言うと「D♭」です。

ですから「D♭ / C♭7」になっています。

つまり「C♭7」の上に「D♭」は乗っているのです。

これは、カプースチンが大好きなコードで、
この曲にも、他の曲にも沢山出て来ますから、
必ず覚えておいて下さいね。
posted by テル先生 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月07日

「マンテカ」徹底分析(7)

前回までは「マンテカ」の原曲と
  カプースチン「パラフレーズ」の
    コード進行を比較する話でした。

今回からは、
いよいよ「パラフレーズ」の分析をします。

6ページ(導入部)2小節目を見て下さい。

第1ピアノ、1番上の音(メロディー)は、
テーマ「A」のモチーフですね。
 (9ページ、35と37小節目を参照)

導入部、2小節目の1〜2拍目メロディー、

「♭シ、♭ラ、ファ、♭シ」

それぞれの音をコードで弾いていますが、
何のコードなのか
コード・ネームでわかりますか?

メロディー「♭シ」=コード「B♭7」

「♭ラ」=「A♭7」

「ファ」=「F7」または「C♭7」(裏コード)

4つ目のコードは再び「B♭7」に戻ります。

構成音は〜

「B♭7」と「A♭7」は、下から

「♭7、3、13、♯9、♯11、1」

「F7」は、下から

「♭7、3、♭13、♯9、5、1」

以上のようになります。

この3つのコード、この後で沢山使われます。

しっかり覚えておいて下さい。

逆の言い方をすると、カプースチンは
この後の展開を最初の3つのコードで示している。

この曲全体を、すでにここで暗示させているのです。
posted by テル先生 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

「マンテカ」徹底分析(6)

「マンテカ」の原曲と
   カプースチン「パラフレーズ」の
      コード進行を比較する話の続きです。

今回は、形式の「C」部分、
  カプースチン番号「6」
   10〜11ページ(51〜58小節)です。

        【C】の比較

♪原曲【C】

|| A♭m7 | D♭7 | G♭M7 | F♯m7 B7 |

| Fm7(♭5) | B♭7 | Cm7(♭5) | F7 ||

♪パラフレーズ【C】(51〜58小節)

|| C♭(Bass D♭) | D♭7  G7  G(Bass D♭)|

| G♭M7 | A(Bass B)  B7 |

| Fm7 | B♭7 | Cm7(♭5) | F7 ||

パラフレーズ【C】の特徴は
最初の小節を A♭m7(Um7) にしないで

C♭(Bass D♭) にしたことです。

C♭(Bass D♭)は、
D♭7 sus4(9) と解釈してもいいですよ。

♪原曲【C】

|A♭m7|D♭7|G♭M7|

♪パラフレーズ【C】

|C♭(Bass D♭)|D♭7|G♭M7|

普通の Um7 X7 にしないで、
変化を付けるために変えたのでしょうね。

   【B】と【C】比較(まとめ)

原曲とパラフレーズ、
それぞれの【B】と【C】
最初の3小節を比べてみましょう。

♪原曲【B】
|A♭m7|D♭7|G♭M7|

♪パラフレーズ【B】
|E♭m7|A♭7|D♭M7|

♪原曲【C】
|A♭m7|D♭7|G♭M7|

♪パラフレーズ【C】
|C♭/D♭|D♭7|G♭M7|

原曲の【B】と【C】は、
    同じコード進行ですが、

パラフレーズの【B】と【C】は、
どちらも原曲のコード進行を変えていますね。

つまり「パラフレーズ」の方が
   「変化に富んでいる」と言えるのです。
posted by テル先生 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月05日

「のだめ」ついにお別れ!

「のだめカンタービレ」第23巻が最近発売された。

 ついに最終楽章になってしまった。

「のだめ」が登場してから、もう8年になるらしい。

最後は、千秋と2台のグランドピアノで…。





2台のピアノと言えば、ここ数日書いている
  カプースチン「マンテカ」徹底分析は、
     まだまだ続くのでお楽しみに。

もう1つ。2台のピアノの話。

以前このブログで紹介した

  「矢野顕子×上原ひろみ」の動画を、

 もう1度観てみよう。(09.11.24投稿記事)

この時の上原ひろみの髪型や弾く時の表情、
イメージが「のだめ」に似ていると思わなかった?

実際にアジアの国では、

「ジャズの<のだめ>」って言われているらしい。

 本人が雑誌か何かのインタビューで言っていた。

私は「のだめ」が登場した時から、
 ジャズや即興演奏の方面に行けばいいのに、
   と思っていた。

もし「のだめ」が私の教室に来たら、
作曲&即興演奏家として育てるつもりだった。

そうすれば物語は別の展開になっていたはずだ。

そんなわけで、あの動画を観た時に
「めぐみ」が「ひろみ」になってこの世に出て来た
     と思ってしまった。

これから「めぐみ」には会えないけれど、
   「ひろみ」は当分活躍するだろうから、
     「めぐみ」の分までみんなで応援しよう。

そして、将来は、
あなたが「のだめ」や「ひろみ」のようになること。

クラシックもジャズ(即興)も両方弾けるのが理想。

あなたの音楽的能力を、さらに向上させていけば、
      決して夢物語ではない。

ただし夢だけ見ていても、単なる夢物語で終わる。

実際に行動すること。

つまり毎日、練習と勉強を続けよう。

このブログでは、あなたの勉強と夢を応援するため、
また明日から分析を続けるので、ぜひ学んでほしい。
posted by テル先生 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月04日

「マンテカ」徹底分析(5)

「マンテカ」の原曲と
  カプースチン「パラフレーズ」
    を比較する話の続きです。

前回に続き今回も、形式の「B」部分、
   カプースチン番号「5」
     10ページ(43〜50小節)です。

今回は、メロディー音にも注目してみましょう。

【B】の2小節目、最後の音(G♭音)から
    3小節目、最初の音(F音)は、
A♭7の第7音=♭7(G♭音)から
D♭M7の3度(F音)へ解決することになり、
自然な音の流れになります。

X7の♭7(短7度の音)は、
半音(または全音)下の音に行く性質を持っています。

「パラフレーズ」
44小節目(最後の音=G♭)から
45小節目(最初の音=F)への流れです。

つまり原曲のコード進行よりも、
カプースチンの進行の方が自然だということです。

ここの説明は、
前回を読んでいないとわからないと思いますので、
コード進行を楽譜に書き込んでから読んで下さい。

           ☆

パラフレーズ【B】の後半4小節のメロディーも
  興味深いところがありますよ。

パラフレーズ、
49小節目のメロディーを見て下さい。

メロディー|D音→E♭音|(レ→♭ミ)

この「レ=D音」は、原曲にはありません。

カプースチンの創作だと思います。

「なぜ、このようにしたのでしょう?」

その理由は、前の2小節を見るとわかります。

47小節目|B♭7|1〜2拍目のメロディー

|ミ=E → ファ=F|(♯4→5)

48小節目|E♭7|1〜2拍目のメロディー

|ラ=A → ♭シ=B♭|(♯4→5)

この2小節に出て来た「♯4→5」を模倣して

|A♭M7|でも、メロディー音を

|レ=D → ♭ミ=E♭|(♯4→5) に。

前の2小節|B♭7|E♭7|は、
1小節ずつで、メロディーは4分音符。

それに対して

|A♭M7|は、2小節(2倍)あるので、

メロディーも(2倍)2分音符にしたのですね。
posted by テル先生 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

「マンテカ」徹底分析(4)

「マンテカ」の原曲と
   カプースチン「パラフレーズ」の
      コード進行を比較する話の続きです。

今回は、形式の「B」部分、
   カプースチン番号「5」
      10ページ(43〜50小節)を比べます。

        【B】の比較

♪原曲【B】

|| A♭m7 | D♭7 | G♭M7 | Cm7(♭5) F7 |

| B♭7 | E♭7 | A♭M7 | A♭M7 ||

♪カプースチン【B】(43〜50小節)

|| E♭m7 | A♭7 | D♭M7 D♭7 | G♭M7 |

| B♭7 (F♭7) | E♭7 |

| G/A♭(♯5)  A♭M7 | A♭M7 ||

【B】1〜3小節を比べてみましょう。

♪原曲【B】

|A♭m7|D♭7|G♭M7|〜

♪パラフレーズ【B】(43〜45小節)

|E♭m7|A♭7|D♭M7|〜

両曲とも曲全体のキー(Key of B♭)は同じですが、

原曲【B】は

<Key of G♭>のUm7 V7 TM7

 |A♭m7| D♭7| G♭M7|

パラフレーズ【B】は

<Key of D♭>のUm7 V7 TM7

 |E♭m7| A♭7| D♭M7|

メロディーは原曲のキーのままで、
つまりキーを移調したわけではなく、
コード進行だけ別のキーにしてぴったり合ってしまう。

そんなことを、さりげなくやってしまうカプースチンに、
私は感心してしまいました。(いつものことですが)

さて、
カプースチンがコード進行を変えた理由は…?

原曲の【B】と【C】は、
両方とも最初の3小節が同じコード進行ですので、
どちらかを別の進行にしたかったのだと思います。

その結果、
パラフレーズの【A】【B】【C】すべてが別のキーになり、
調性が変化に富む構成になりました。

♪カプースチン「パラフレーズ」

【A】<key of B♭>
【B】<Key of D♭>
【C】<Key of G♭>

♪原曲は、【B】【C】が同じキーです。

【A】<key of B♭>
【B】<Key of G♭>
【C】<Key of G♭>

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

コード進行は、さらに細かく分析出来ますが、
    それらの話は後日しようと思っています。
posted by テル先生 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月02日

「マンテカ」徹底分析(3)

分析は、1小節目からしようと思っていたのですが、
     予定を変更して<テーマ>から始めます。

イントロ(導入、ヴァンプ)は、後日説明します。

最初に「マンテカ」の原曲と、
カプースチン「パラフレーズ」の
       コード進行を比較しようと思います。

今回は、形式の「A」部分、
カプースチンの通し番号で言いますと「4」番、
9ページ(34〜41小節)を研究しましょう。

ここから<テーマ>が始まります。

     【A】の比較

まず、原曲の「A」1〜8小節です。

♪原曲【A】

|| B♭7 | B♭7 |

| B♭7 | B♭7 |

| B♭7 | B♭7 |

| B♭7 A♭7 | G7 G♭M7  F7 ||

1〜7小節目の頭まで「B♭7」のみです。

カプースチンなら、どうするのでしょうか?

次は、カプースチンです。
こちらのコード進行を楽譜に書き込んで下さい。

♪パラフレーズ【A】(34〜41小節目)

|| B♭7 | B♭7  A♭7 |

| B♭7 | B♭7  A♭7 |

| B♭7 | B♭7  F♭7 |

| E♭7 D7 | D♭7 C7 F7 ||

楽譜の最後の小節、
 カッコ1と2は同じコード進行です。
上の最後の小節(8小節目)を書き込んで下さい。

次に【A】7〜8小節目の
コード進行を比べてみましょう。

♪原曲【A】7〜8小節目

| B♭7 A♭7 | G7 G♭M7 F7 ||

♪パラフレーズ【A】(40〜41小節目)

| E♭7 D7 | D♭7 C7 F7 ||

カプースチンは、
半音下行のコード進行にしていますね。

最後の2つのコードだけは完全4度上行です。

C7(U7)→F7(X7)
posted by テル先生 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月01日

「マンテカ」徹底分析(2)

「マンテカ」徹底分析を始める前に、
ちょっと気になることがあるので言っておこう。

楽譜は発売されたばかりなので、
まだみなさんの手元に来てないかもしれないが、
5ページ下にある解説の譜例について説明する。

<コードの一例>の6小節目、3拍目裏に
「F♭7」と書いてある。

ところが、そこのコードを見ると「G♭」の三和音。

だから、これは「ミスプリ?」じゃないか、
と思う読者がいるかもしれない。

確かに、そこだけ見ると「G♭」なのだけれど、
この曲は2台のピアノで弾くことになっている。

そこで楽譜9ページ下(39小節目)の
第2ピアノをよく見てみよう。

ここで「F♭7」を弾いているんだね。

だから、
ここは「F♭7」の上に「G♭」が乗っている。

コード・ネームにすると「G♭ / F♭7」なんだ。

カプースチンがお酒の次に好きなコード?で、
他の作品もあらゆる場面に登場するんだよね。

このコード、異名同音の方がわかりやすいかな?

「F♯ / E7」と思ってもいい。

さて今回、言っておきたいことは、
    2台のピアノで完全なコードが完成する。

人間1人では生きていけない。
2人が協力して人生を完成させていくんだ!(?)

だから、例えば、第1ピアノを受け持った人が
自分のパートだけを見て分析したらダメということ。

自分勝手に生きてはダメで、他人のことも考えよう!

ということかな???

人生の教訓は、まあ、いいことにして、

今回、言いたかったことは、

両方のパートを見て分析することが大切なんだね。

じゃあ、また明日。ここで会おうぜ!
posted by テル先生 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 「マンテカ」op.129 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。