2008年09月23日

「ブルーボッサ」分析(1〜5)

「ブルー・ボッサ」分析(1)

「カプースチン・リターンズ!」
   08.6.5
<CD発売記念特別企画!>

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

楽譜は、カプースチン「ピアノアルバム 1」で、
   出版社は「プリズム」(¥2.900+税)。

            ☆

「楽曲分析」の第1歩は
    「曲の形式」と「全体の構成」
         を調べるところから始まります。

区切りの小節の上に
        [A1][B2]などを書き込みます。

あなたは[A1][B2]などを四角で囲って下さい。
 (四角で囲えないので[カッコ]にしています)

曲全体のキーは、Cm(ハ短調)です。

<前奏>

[Into.A]1〜8(8)
[Into.B]9〜16(8)

<テーマ>提示部

[A1]17〜24(8)
[B1]25〜32(8)
[A2]33〜40(8)
[B2]41〜54(14)

<変奏1>

[A1]55〜62(8)
[B1]63〜70(8)
[A2]71〜78(8)
[B2]79〜86(8)

<変奏2>

[A1]87〜94(8)
[B1]95〜102(8)
[A2]103〜110(8)
[B2]111〜118(8)

<変奏3>
キーG♯m(♯5つ)に転調

[A1]119〜126(8)
[B1]127〜134(8)
[A2]135〜142(8)
[B2]143〜152(10)

<テーマ>再現部
 キーCmに戻る

[A1]153〜160(8)
[B1]161〜175(15)

<Coda>

[C1]176〜183(8)
[C2]184〜187(4)
[C3]188〜191(4)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

[C1]は、[Into.A]のモチーフ。(比べてみてね)
[C2]は、[A1]最初のメロディーを利用している。
[C3]は、キーCmの曲がキーC(ハ長調)で終る。

        ☆

次回からは、1小節ずつ
        コード進行を書き込んでいきます。

またまた大変な日々がやって来ますが、
   疲れないように、のんびりやっていきましょう。

====================

「ブルー・ボッサ」分析(2)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

導入部(イントロ)です。

いつものように以下のコード進行を
              楽譜に書き込んで下さい。

♪導入部(イントロ) (1〜16)

♪1〜8(8)
|Cm|G7|Cm7|Cm7|
|Cm7|G7|Cm7|A7 A♭7 G7|

♪9〜16(8)
|F7 |F7 |A♭m7|A♭m7|
|Cm|Cm (G7)|Cm|G7|

===============

「ブルー・ボッサ」分析(3)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

まず原曲の譜面を用意して、
       メロディーを調べます。

原曲と、カプースチンの楽譜を見比べて、
      「どこを変えているのか」を調べます。

次に、原曲のコード進行を覚えます。

[A]
|Cm |Cm |Fm7 |Fm7 |
|Dm7(♭5) |G7 |Cm |Cm |

[B]
|E♭m7 |A♭7 |D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) |G7 |Cm |Cm |

これが原曲のコード進行です。

[A]8小節、[B]8小節、合計16小節ですが、
もう1回繰り返して、32小節が1コーラスです。

[A1]8小節
[B1]8小節
[A2]8小節
[B2]8小節

これで合計32小節(1コーラス)になりますね。

このコード進行を、
  カプースチンの楽譜に書き込んでいきます。

<前奏>16小節ですから、
<テーマ>は、17小節目から始まっています。

 17小節目の上に Cm と書き込みましょう。

ここから、いよいよ分析が始まりますが、
        話は、そう簡単にはいきません。

コード進行を
    ただ機械的に書き込んではダメですよ。

なぜなら、
   カプースチンや、ジャズ・ピアニストは、
      原曲を少しずつ変えているからです。

例えば、テーマ3小節目(19〜20)の「Fm7」。
よく見ると、「ミ」(ナチュラル)や、「レ」がある。

「あれ、じゃあ、コード・ネームは…?」

もう1つ。
テーマ5小節目(21)の「Dm7(♭5)」。

この小節全体をよく見ると、
     「ファ」もあるけれど、「♯ファ」もある。

「じゃあ、コード・ネームは…?」

というように、
    1小節ずつ考えながら書き込んでいく。

最後までやると、10年ぐらい掛かる人もいる?

まあ、知的ゲームみたいなもので、
            すごく楽しいものですよ。

カプースチン先生が、謎解きの出題者。
   「君たち、私の出した謎を解けるかね?」

この謎を解き明かすために、
       あなたが挑戦するゲームなんです。

「え?最初から、あきらめる」ですって…。

そ、そう言わずに、少しやってみて下さいよ〜。

「本当に、楽しいんですから…!」
(いや、ほとんどの人は頭が痛くなるかも…?)

「ちょっとでもいいから、ぜひ、1度やってね」

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「ブルー・ボッサ」分析(4)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

<テーマ>1〜2小節目「Cm」
(117ページ、小節番号17〜18)

この2小節のコードは「Cm」ですね。
機能は「トニック」。

ところが、17小節、3拍目の裏拍、
      メロディー「レ」をよく見て下さい。

ここだけは、一瞬ですが「B dim7」。
機能は「ドミナント」。

なぜだか、わかりますか?

「Cm」に行くための「ドミナントは?」

その答え(ドミナント)の基本コードに
           「♭9」を加えて下さい。

そして、ルートを取る(消す)。

残った音(コード)は?

これで、わかりましたね。

と言っても、初心者には「…?」
              かもしれませんが。

このような細かいコードは、
一時的にメロディーに付けるコードなので、
 コード進行として書く必要はありません。

カッコして、(B dim7)と書いておけばいい。

コード進行は「Cm」が2小節でいいのです。

          ☆

<テーマ>3〜4小節目「Fm」
小節番号19〜20の2小節は「Fm」です。

「Fm」と書いた時は「Fm7」ではなく、
               「Fm6」でしたね。

20小節、右手の上2声「レ、ファ」、
      左手3拍目の裏「ド、レ」。
これが「Fm6」の決定的な証拠です。

さて、19小節、3拍目の裏拍、
     メロディー「ソ」のコードは何?

あなたには、すぐわかるでしょう?

さっき「Cm」で説明しましたよね。

同じ事を「Fm」に置き換えてみれば…?

「Fm」に行く「ドミナント」は?

「♭9」を加え、ルートを取る。

残ったコードと、楽譜を比べてみて、
       音が一致すれば正解です。

合っていたら「おめでとうございます!」

「分析って、わかると楽しくありませんか?」

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「ブルー・ボッサ」分析(5)

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

前回のように細かい部分を解説すると
           なかなか先に進めません。

そこで、今回は細部の説明を省略して
       大体のコード進行だけを書きます。

★<テーマ> 17〜54

[A1] 17〜24(8)
[B1] 25〜32(8)
[A2] 33〜40(8)
[B2] 41〜54(14)

★<テーマ>コード進行

♪[A1] 17〜24(8)

|Cm |Cm |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) *A♭7 |G7 |
|Cm |Cm7 Dm7 |

*「A♭7」=D7(♭5)[Bass A♭]

♪[B1] 25〜32(8)

|E♭m7 |A♭7 |D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 |
|*Dm7(♭5) G7 A♭7 G7 |
|Cm7 |D7(♭5) G7 |

*半拍分、前小節から始まる。

♪[A2] 33〜40(8)

|Cm |Cm |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm7 Dm7(♭5)[Bass C] |
|*G7(Bass B) B♭m7 A7 |

*1拍分、前小節から始まる。

<37>3拍目裏から「A♭m(M7)」
<38>2拍目から「A♭m7」が1拍半。

♪[B2] 41〜54(14)=(6+8)

|E♭m7(Bass A♭) |A♭7 |
|D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 |Dm7(♭5) G7 |

|Cm7(♭5) |F7 |B♭m7 |E♭7 |
|A♭6 |A♭ |D♭M7 |
|*Dm7(♭5) G7 |

*1拍分、前小節から始まる。


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「ブルーボッサ」分析(6〜8)

「ブルー・ボッサ」分析(6)

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

★<変奏1> 55〜86

[A1] 55〜62(8)
[B1] 63〜70(8)
[A2] 71〜78(8)
[B2] 79〜86(8)

★<変奏1>コード進行

♪[A1] 55〜62(8)

|Cm7 |Cm7 |Fm7 |Fm7 |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm7 |Cm7 C♯m7 Dm7 |

♪[B1] 63〜70(8)

|E♭m7 |A♭7 |
|D♭M7 |(C7) D♭M7 |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm(Bass E♭) E♭7 A♭7 |G7 |

♪[A2] 71〜78(8)

|Cm(6) |Cm7 |Fm7 |Fm7 |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm G(Bass B)|
|B♭m7 E♭7(Bass A) |

<72>左手2拍目コードは「Bm7」。
右手メロディー「♯ソ、ラ、♯ド」も同じ。
「Cm7」から一瞬アウトして戻る技法。

<78>左手3拍目裏の低音「B♭♭」は
  理論的には「♭5」で正しいけれども、
わかりやすくするために実音「A」で書いた。

♪[B2] 79〜86(8)

|E♭m7(Bass A♭) |A♭7 |
|D♭M7 G♭7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm A♭M7 D7(♭5)|
|(D7) G7 |

<85>3拍目が「A♭M7」。
4拍目から<86>1拍目までが「D7(♭5)」

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「ブルー・ボッサ」分析(7)

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

★<変奏2> 87〜118

[A1] 87〜94(8)
[B1] 95〜102(8)
[A2] 103〜110(8)
[B2] 111〜118(8)

★<変奏2>コード進行

♪[A1] 87〜94(8)

|Cm7 |Cm G♭7 |Fm7 |Fm7 |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm7 A♭7 |Cm7 C♯m7 Dm7 |

<88>2つのコードの間に「Gm7」が入ると
考えてもいい。(2拍目)

♪[B1] 95〜102(8)

|E♭m7 |A♭7 |
|D♭M7 G♭7 |(G♭7)D♭M7 |
|Dm7(♭5) |Dm7(♭5) G7 |
|(G7) Cm7 F7 |A♭7(♭5) G7(♭5)|

♪[A2] 103〜110(8)

|Cm7 |C7 |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) |Dm7(♭5) G7(♭5)|
|Cm G7(Bass B) |
|B♭m7 E♭7(Bass A)|

♪[B2] 111〜118(8)

|E♭m7(Bass A♭) |A♭7 D7 |
|D♭M7 G♭7 |G♭7 D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 |Cm7(♭5) F7 |
|B♭m7 EM7 A7(Bass D♯) |
|A7(Bass D♯) |

            ☆

この後は、いよいよ<変奏3>で、
    「G♯m」のキーに転調します。

基本的には<変奏1〜2>を参考にして、
「G♯m」に移調すればいいのですが…。

きっと、頭が痛くなる人もいるのでは?

私でも、ゆっくり、じっくり考えました。

「この後、ブログを書かずに逃げ出そうか?」

「いや熱心な読者のために続けるべきでは?」
などと自問自答の苦しい日々を過ごしました。

多分、気が充実した日に書くと思います。
 (美味しい「アンパン」に出会った日に…)

==================

「ブルー・ボッサ」分析(8)

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

<変奏3>は、キーが「G♯m」へ転調します。

★<変奏3>形式(119〜152)

[A1] 119〜126(8)
[B1] 127〜134(8)
[A2] 135〜142(8)
[B2] 143〜152(10)

★<変奏3>コード進行

♪[A1] 119〜126(8)

|G♯m |G♯m |C♯m7 |C♯m7 |
|A♯7 |D♯7 A7 |
|G♯m D♯7(Bass G) |F♯m7 F7 |

♪[B1] 127〜134(8)

|Bm7(Bass E) |Bm7(Bass E) E7|
|AM7 D7|AM7 |
|A♯m7(♭5) |B7(sus 4) B7 |
|EM7 A7 |D♯7 |

♪[A2] 135〜142(8)

|G♯m |G♯m |C♯m |C♯m |
|A♯7 E7 |D♯7 |
|G♯m D♯7(Bass G)|
|F♯m7 F7 |

♪[B2] 143〜152(10)

|Bm7(Bass E) |E7 B♭7 |
|AM7 F7(Bass A) |AM7 |
|A♯m7(♭5) D♯7 |G♯m7(♭5) C♯7 |
|F♯m7(♭5) F7 B♭M7|A7(♭5) |
|Dm7(♭5)[Bass A♭] |G7 |

この後は、キー「Cm」でテーマが再現されます。
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「ブルーボッサ」分析(9)

「ブルー・ボッサ」分析(9)

テル先生の「カプースチン楽曲分析」

<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)

<再現部>

<テーマ>
再現部は、キーCmに戻って来ます。

[A1]153〜160(8)
[B1]161〜175(15)

<テーマ>
[A1]153〜160(8)

|Cm7 |Cm7 |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) (D7)|G7(♭5) (D♭7)|
|Cm G7(Bass B) |
|B♭m7 A7 |

いつも書いているコード進行は、
  コードが本来あるべき位置に書いています。

しかし、実際はコードが自由に移動していますね。
 必ずカプースチンの楽譜を見て確認して下さい。

例えば、159〜160の「B♭m7」は、
         1拍分、前の小節にありますね。

ですから正確に書くと、

|Cm G7(Bass B) B♭m7| A7 |

「最初の3つのコードを1拍半ずつ、<A7>は3拍半」
などと各小節を説明していったら大変なことになります。

ですから、
必ず楽譜をよく見て、確認しながら学んで下さい。

[B1]161〜175(15)

|E♭m7(Bass A♭) |A♭7 |
|D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 [Dm7(♭5)]|
| G7 A♭7 G7 |
|Cm7 |Cm7 |

<161〜168>まで8小節です。

この後<169>からは、
<テーマ>終わりの4小節を2回繰り返してから
<Coda>に進みます。

♪169〜175(7)
|Dm7(♭5) G7 Dm7(♭5)|
|G7 A♭7 G7 |
|Cm7 |Cm7 |
|Dm7(♭5) A♭7(Bass G) G7(4)|
|G7 |G7 |

<173>最後のコード「G7(4)」は、
「Dm7(♭5)/Bass G」でもいいですよ。

  ============

さて、次は、いよいよ<Coda>です。

<Coda>は、
以下の3つの部分から構成されています。

[C1]176〜183(8)
[C2]184〜187(4)
[C3]188〜191(4)

[C1]は、導入部(イントロ)1〜8小節のモチーフ。
    じっくりと、比べてみて下さいね。

[C2]は、テーマ[A1]1〜2のモチーフが
               使われています。
                     
[C3]は、キーCmのトニック・コードが
           「CM7」で終ります。

♪[C1]176〜183(8)

|Cm7|Cm7|Cm7|D♭7(Bass C)|
|Cm7|Cm7|Cm7|F7 F♯7 G7|

<176〜182>までは|Cm7|
<183>は|F7 F♯7 G7|

♪[C2]184〜187(4)

|G7|
|D♭M7(Bass G) D7(Bass G)|
|D7(Bass G) G7|
|G7|

♪[C3]188〜191(4)

|CM7 (C♭M7)|(D♭M7) CM7|
|CM7|CM7|

<188〜189>
カッコ内のコードは、仮の分析です。
  あとで変更するかもしれません。
ルートのない4度和声は判定が難しいです。

          ☆

以上で、カプースチン「ブルー・ボッサ」分析、
 コード進行を書き出す作業を終わりますが、
  必ず楽譜を見て勉強して下さい。

コード・ネームだけでは、
 実際にどのように弾いているのか、
  どの位置で弾くのか(複雑なタイミング)
   など、1番肝心なことが学べませんからね。

♪「カプースチン ピアノアルバム 1」
    出版は「プリズム」。
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