2012年03月24日

Op.133<誤植>報告(その7)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

この曲「Op.133」の誤植報告は、第7回目ですね。

過去記事を見て下さい。
カテゴリ ⇒ <誤植>発見報告の中にあります。


☆6ページ

33小節、上段1拍目「G♭音=♭ソ」は
「♭」を消して「ナチュラル」を付ける。

<理由1>

前小節(32)上段、
最後の音は「F♯音」なので、
このままでは異名同音になってしまう。
「F♯音」と「G♭音」

<理由2>

前小節(32)に「G♯音」もあるので
33小節の1拍目「G音」は
「♭」を消すだけでなく、
親切記号で「ナチュラル」を付ける。

<理由3>

この小節(33)のコードは
「D♭M7」で
第5音=「A♭音」に上下から
「G音」⇒「B♭音」⇒「A♭音」と
解決する音(アプローチ・ノート)になる。

<理由4>

決定的な理由は、
作曲者本人の楽譜には「G音」に
「ナチュラル」が付けてある。
posted by テル先生 at 03:19| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月23日

〜協奏曲 第2番(作品14)誤植3

カプースチン
ピアノと管弦楽のための協奏曲 第2番
作品14 [2台ピアノ]

前回に続けて同じ曲の誤植を報告します。
(この曲の誤植報告は、第3回目です)

☆16ページ

124小節
<第2ピアノ> 
左手4拍目「B音(シ)」に「♭」を付け、
「B♭音(♭シ)」にする。

<理由1>

この小節(124)のコードは
「C7」なので「♭7」の音になる。

<参考>
同小節、右手2拍目裏に「B♭音」あり。

さらに<第1ピアノ>同じ小節(124)
左手3拍目裏にも「B♭音」あり。

<理由2>

(121〜122)と
(123〜124)
を、よく見て比べてみよう。

この4小節(121〜124)の
コード進行。

|Am7(♭5)|D7|
|Gm7(♭5)|C7|

121〜122の
コード進行、コード(押え方)、
メロディーのすべてを
そっくり全音下に移調したものが
123〜124になっている。

<第1〜2ピアノ>どちらも
123〜124は
121〜122のすべての音が
全音下になっていることを確認しよう。

つまり122が「D7」なら
124は「C7」になるはず。

122が「D7」で<第2ピアノ>
左手4拍目「C音=♭7」なら
124は「C7」になり
左手4拍目は122(C音)の全音下
「B♭音=♭7」になるはず。

他のすべての声部が全音下なのだから
この1音だけが半音下ということは
「ありえない」。
posted by テル先生 at 01:53| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月22日

〜協奏曲 第2番(作品14)誤植2

カプースチン
ピアノと管弦楽のための協奏曲 第2番
作品14 [2台ピアノ]

前回に続けて同じ曲の誤植を報告します。


☆14ページ

97小節
<第1ピアノ> 左手 3拍目
「A音」を消して「B音」にする。

<理由1>

このコードは「G♯m7(♭5)」で
下から「♯ソ、シ、レ、♯ファ」
すべてコードトーンで
「1、♭3、♭5、♭7」になる。

2小節先(99小節)にある
「F♯m7(♭5)」も同じ数字。

<理由2>

<第1ピアノ>97〜100小節と
105〜108小節を比べてみよう。

まったく同じメロディーとコード。

|G♯m7(♭5)|C♯7|
|F♯m7(♭5)|B7|

105小節の「G♯m7(♭5)」は
ちゃんと「B音」になっているでしょう。

<理由3>

そもそも「G♯m7(♭5)」コードで
「A音」=♭9は使えないので、
「あれ、変だな?」と、すぐ気付くはず。
(ジャズ理論を学んだ人なら…)
posted by テル先生 at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月21日

〜協奏曲 第2番(作品14)誤植1

カプースチン
ピアノと管弦楽のための協奏曲 第2番
作品14 [2台ピアノ]

誤植があるので報告します。

☆11ページ

68小節
<第1ピアノ> 右手3拍目の前に
低音部記号(ヘ音記号)を書き込む。

右手メロディーは
「♯レ、♯ド、ド(ナチュラル)、シ」
になる。

<理由1>
この小節(68)3〜4拍目のコードは
「B7」なので「♯レ=第3音」
「シ=ルート(第1音)」になり、
その間の音(♯ドとド)は経過音になる。

<理由2>
試しに「ト音記号」で弾いてみよう。
まったく理解出来ないメロディーになる。

「♯シ=ド?」など不自然。

もし「♭9」なら最初から「ド」で書くはず。

それに左右の手(メロディー)が
音階的に(スムーズに)つながらない。 

☆12ページ

69小節
<第1ピアノ> 上段「ト音記号」を
「低音部記号(ヘ音記号)」に変える。
右手1拍目の8分音符は「E音」になる。

<理由1>
この小節(69)は
前(11)ページ(68小節)で指摘した
誤植の続き。

この小節(69)のコードは
「EM7」なので
左手とユニゾンで「E音」になる。

☆12ページ

<第1ピアノ> 70小節、
上段の終わり位置に「ト音記号」を書く。
(下段と同じ位置に)

前小節(69)で書いた「低音部記号」を
「ト音記号」に戻すため。


  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この曲は、他にも誤植があるので、
次回も続けて報告します。
posted by テル先生 at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月07日

Op.133<誤植>報告(その6)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

今回は、完全な誤植です。
そして、そこから話が発展して、さらに…。

第1曲目(4ページ)

下から2段目、3小節目(小節番号10)
右手4拍目裏「F音(ファ)」にナチュラル。

同小節、同音域2拍目に
「F♯音(♯ファ)」あり。

問題の4拍目裏のコードは「G7」なので
「ファ」がナチュラルじゃないと
いけないんだ。

さて、ここで誤植の指摘が正しいことを
証明しよう。
別の問題も出て来るので
しっかり読んでね。

問題の小節(10)の
すぐ下の小節(14)を見てごらん。

右手最後の音が「ファ」になってるよね?
ここも「G7」のコード。
コード進行も同じ
「G7」から「A♭」に行く偽終止だね。

ついでに両方の小節(10,14)、
左手3拍目裏の「F音(ファ)」にも
ナチュラルを付けておこう。

ここは
右手「F♯音」と同じ高さではないから
付けなくてもいいんだけれど、
念のために付けておく。

さらに「G7」の証明を続けると、
またまた別の問題が出て来るんだ。

6ページ1番下の1小節目(42)
右手最後も「G7」だよね。
この(42)が(10)の再現なんだ。

もう1つ、7ページ上1小節目(46)
最後を見てごらん。

これで問題の(10)が誤植だ
ということが、よくわかったよね。

さて、またまた別の問題というのはね、
10、14、46小節の左手ライン、
3拍目裏から

|F〜G♭〜G|なんだけれど、

42小節目だけは

|F〜F♯〜G|なんだね。

他の状況は、ほぼ同じなのにね。

作曲家も気まぐれなのかな?

どちらかに統一したらいい
と思うんだけれど?

これでもいいのかな?

それとも深い意味があるのかな?
posted by テル先生 at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月06日

Op.133<誤植>報告(その5)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

今回は誰にでもわかる
初歩的なミスプリから始めよう。

第2曲目(11ページ)

上から4段目、2小節目(小節番号52)
右手2拍目裏「G音(ソ)」にナチュラル。

同じ小節1拍目に「G♯音(♯ソ)」あり。
このままでは次の音「A♭音(♭ラ)と
異名同音になってしまう。
(原譜にはナチュラルあり)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次は親切記号なので、
なくてもいいのだけれど、
あった方が親切なので…。

第2曲目(10ページ)

上から3段目、1小節目(小節番号34)
左手3拍目コード「A音(ラ)」にナチュラル。
半拍前の右手に「A♯音(♯ラ)」あり。
posted by テル先生 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月05日

Op.133<誤植>報告(その4)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

今回の誤植は、とても面白くて珍しい例だ。
世の中こんな不思議なこともあるんだね?

第1曲目(4ページ)

上から2段目、1小節目(小節番号4)
後にある複縦線は完全な誤植なので、
縦線1本を消して普通の縦線に戻す。

<理由1>
形式を書き出すと分かるけれど、
この曲は、
[A]8+[B]8+[C]8〜のように
8小節ずつ進んでいく曲(コーダ以外は)。

このままでは、
イントロ(4)と[A1](4)になってしまい、
形式の解釈に大きな影響が…。

<理由2>
カプースチンは、他の曲でも、
イントロと[A]の間に複縦線を引いていない。

4曲目(16ページ)と
5曲目(19ページ)を調べてみよう。

<理由3>
もしこれが正しいというなら、
[A1](1〜8)の再現部
[A3](49〜56)の52小節目に
同じ複縦線がなければならない。

つまり、
どちらにしても片方が誤植になる。

<理由4>
「作曲家は複縦線を引いていない?
それは、どういうことですか、ホームズさん」

   <疑惑の複縦線>
〜名探偵ホームズと編集者の会話〜

「ホームズさん、
先日送りました作曲者の手書き譜、
よく調べていただいたでしょうか?
元の楽譜を忠実に入力した私に
<無実の罪>を着せようとする
<とんでもない奴>がいるのです。
ぜひ私の無実を証明していただきたい」

「あなたは、この作曲家が
縦線を定規でキッチリ引くことを
よくご存じですね」

「勿論です」

「複縦線も
しっかり同じ太さで引きますね」

「はい、そうです」

「問題の複縦線ですが、よく見ると
左側の線が細くてかすれていませんか?」

「はあ、確かに…。
でも、これはコーピーがかすれたのです」

「そうでしょうか。
他の複縦線は、ハッキリと書いてありますよ。
それと、さらによく見ていただきたいのは、
縦線の上部が五線紙の1番上の横線から
数ミリ上に出過ぎていますね。
この作曲家が
五線紙からはみ出す縦線を引くでしょうか?」

「そうですね?」

「結論から言うと、
これは作曲者が引いた線ではありません」

「と言うと、誰が?」

「誰も左側の縦線を引いていません。
この小節の音を書き直すために
作曲者が上から紙の断片を
部分的に貼り付けたのです。
その証拠に
2〜3小節目の間をよく見て下さい。
5線の各線が微妙に歪んでいますね。
この小節も上から紙を張り付けた証拠です。
つまり<疑惑の縦線>は
紙1枚分の盛り上がった部分が
コピーした時に縦線として出てしまい、
ちょうど複縦線のように見えるのです」

「それを私が勘違して?」

「いいえ、あなたは見えたままを
忠実に入力したのですから
素直な良い編集者です。
問題は、
ページ全体を書き直さなかった作曲家が…。
まあ、早く仕上げて
大好きな酒でも飲みたかったのでしょう。
これも、ごく自然な行為で憎めませんな。
今回は、誰も責めることは出来ません。
まあ、今後は最初から書き直すように
作曲家にお願いしたらいかがですか?」

「そうですね。
ホームズさんからの提案として
そのように伝えておきます。
ありがとうございました」

posted by テル先生 at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月04日

Op.133<誤植>報告(その3)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

今回の誤植?は、とても重要です。

それは、メロディー音だからです。

しかもコードが<メジャー>か<マイナー>か
大きな影響を受けてしまいます。

W(4曲目)17ページ

上から2段目、3小節目(小節番号17)
右手1拍目のメロディー音「G♭音(♭ソ)」は
「G音」(ナチュラル)では?
「♭」を取って<ナチュラル>を付ける。

<理由1>
作曲者による楽譜では
「G音」に「ナチュラル」あり。

<理由2>
これは決定的な理由ではありませんが、
次の2小節(18〜19)のメロディーは
「G音」なので。

<理由3>
もし作曲者が「G♭音」に変更したのなら、
その小節(17)内の右手3拍目裏「G音」
(上から2番目)に
ナチュラルを付けなくてはいけない。

なぜなら、ここは4拍目コードに全声部が
半音下から解決するコードだから。

つまり、この小節は、
どちらにしても誤植になる。


  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いくつもの誤植をすでに見付けていますので、
時間がある時に少しずつ報告しますね。

今後の予定ですが、誤植報告をしながら、
6曲の<形式>を1曲ずつ書き出し、
その後<コード進行>分析もしようと思います。

この曲集が日本での人気曲になるのを願って…。
posted by テル先生 at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

Op.133<誤植>報告(その2)

カプースチン
「ピアノのための6つの小品」(作品133)

誤植をいくつも見付けましたので
少しずつ報告しますね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

U(2曲目)11ページ
上から3段目、2小節目(小節番号49)、
左手4拍目裏に「E♭音(♭ミ)」があるよね。

これは完全な誤植。

(♭)を取って「ナチュラル」を付ける。
つまり「E音(ミ)ナチュラル」にする。

なぜ、そうなるのか、説明しよう。

<理由1>
ここは次の小節のコード「EM7」が
半拍前に出て来ているんだ。

これだけでは納得出来ないよね?

もっと決定的な証拠を見せよう。

<理由2>
問題の49〜50小節と
以下の小節を見比べてみよう。

5〜6小節
25〜26小節
33〜34小節

ここに書き出した小節のコード進行は
すべて〜
|CmM7 F7 | EM7 Dm7 |なんだ。

注、「Cm」は「Cm7」ではなく
「CmM7」だけれど
今回の話には関係ないので、
説明は後日する。

では上記の小節を詳しく見ていこう。

<理由3>
5小節目の左手を見てほしい。
49小節目と比べてみてね。

まったく同じで4拍目裏「E音(ミ)」
にナチュラルが付いているよね。

<理由4>
25〜26小節を見よう。
ここも上記のコード進行なんだけれど、
ここでは「E音」を半拍前に出していない。

これが普通の状態。

でもジャズでは次の小節のコードを
半拍前に出すのは当たり前のこと。
カプースチンだって、いつもやっている。

<理由5>
33〜34小節も見よう。

上記のコード進行で、
ここでも「E音」を半拍前に出していない。

でも、5〜6小節と
問題の49〜50小節は
次の小節のコード「EM7」を
半拍前に出しているんだね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これで全員納得したと思うけれど、
どうかな?
posted by テル先生 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月24日

Op.133<誤植>報告(その1)

出版されたばかりのカプースチン
「ピアノのための6つの小品」
(作品133)ですが、
いくつかの<誤植>を見付けましたので
少しずつ報告します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

W(4曲目)16ページ
上から2段目、2小節目(小節番号5)、
左手2拍目裏の「E音(ミ)」に
ナチュラルを付ける。

その前、同じ小節内に
「E♭音(♭ミ)」あり。

<理由1>
前小節、左手3拍目を見てみよう。

<理由2>
4〜5小節と20〜21小節を比べてみよう。
この4小節はすべて|A♭m7 Gm7|の繰り返し。
問題の小節(5小節目)以外の「Gm7」には
「E音(ミ)」にナチュラルが付いているね。
特に21小節目を見てみよう。
ほぼ同じフレーズ、同じコードの押さえ方で
「E音(ミ)」にナチュラルが付いているよね。
以上の理由で問題の音に「ナチュラル」を付ける。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次も、別の重大な間違い。

同じく16ページ、上から2段目、
3小節目(小節番号6)、2拍目裏、
右手「G音(ソ)、A音(ラ)」を
「A音(ラ)、B音(シ)」にする。

<理由1>
22小節目を見てね。
4分の3拍子に変わった小節で、
コード進行は|E♭m7  F♯m7|
になっていて、この「F♯m7」を
よ〜く見てごらん。(2拍目裏)

<理由2>
この曲で作曲者は
「マイナー7コード」を下から
左手「1、5」
右手「♭3、11(=4)、♭7」
のように積み重ねている例が多い。
例えば、
5、20、21小節の「A♭m7」
6、22小節の「E♭m7」
23小節「Am7」
22小節「F♯m7」など。

<理由3>
そもそも「F♯m7」で
問題の「G音(ソ)」は使えない。
一般的に「m7コード」で
「♭9」は使わない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まだ重大な誤植がありますが
後日、報告しますね。
あなたも見付けて下さい。
posted by テル先生 at 02:10| Comment(0) | TrackBack(0) | <誤植>発見報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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