今回もカプースチンの作品を分析して
ジャズのコード進行について学びます。
「The End of the Rainbow」Op.112
「ジ・エンド・オブ・ザ・レインボー」
(虹の果て)を分析して
コード進行の複雑化を学びましょう。
楽譜は
「ピアノアルバム 1」(プリズム版)
85ページ、
下から2段目の1小節目(37)から、
86ページ上段2小節目(44)まで。
小節番号でいうと、
(37)から(44)までの8小節です。
前のレッスンで<形式>を書き込んだ
「C1」37〜44(8)になります。
この8小節のコード進行は、
以下のようになっています。
|Dm7 G7(4)|CM7 Em7 A7|
|Dm7 G7(4)|Em7 Am7|
|E♭m7 A♭7|C7(Bass D♭)D♭|
|F♯7(4)F♯7|BM7|
実はカプースチンは、
さらに細かいことをやっているのですが、
それは後日(さらに複雑化の時)に説明します。
今回は、
この範囲の内容を理解しましょう。
このコード進行を単純化します。
|G7|C|
|G7|C|
|A♭7|D♭|
|F♯7|B|
キーだけで考えると、
<キーC>4小節
<キーD♭>2小節
<キーB>2小節
つまり<キーC>の半音上下のキーに
転調しているので覚えやすいですよね。
では、これを徐々に複雑化していきます。
|C|C|
|C|C|
|D♭|D♭|
|B|B|
上記は、すべて<トニック>のみです。
これを<ドミナント>と<トニック>
にしてみましょう。
|G7|C|
|G7|C|
|A♭7|D♭|
|F♯7|B|
次に、ドミナント・コードは、
「Um7−X7」(ツー・ファイブ)
に分割出来ます。
|Dm7 G7|C|
|Dm7 G7|C|
|E♭m7 A♭7|D♭|
|C♯m7 F♯7|B|
ここまで分かりますか?
<キーC>のトニック「C」は1度、
「Dm7」は2度、
「G7」は5度なので、
<Dm7−G7−C>のコード進行を
2−5−1(ツー・ファイブ・ワン)
と言います。
では、続けます。
2小節目3拍目に、
次の小節の「Dm7」に行くための
ドミナント「A7」を入れます。
そして、セブンス・コードは
ツー・ファイブに分割出来ますので
「Em7 A7」にします。
|Dm7 G7|C Em7A7|
|Dm7 G7|C|
4小節目の「C」は「CM7」ですが、
ここはトニックの代理コード
「Em7」「Am7」に置き換えます。
|Dm7 G7|C Em7A7|
|Dm7 G7|Em7 Am7|
トニックの代理を知らなくても、
ここでは「そんなものか」と
軽く読み飛ばして進んで下さい。
ジャズに詳しい人は
「酒とバラの日々」
9〜10小節目を思い出して下さい。
2つのトニックの代理コードが
ここと同じように使われていますね。
4小節目のトニックは
代理コードを使いましたが
6小節目のトニック「D♭」は、
別の技法で装飾されています。
<トニック・ディミニッシュ>
のような技法です。
|D♭dmi7 D♭|
または
|C(Bass D♭) D♭|
今回のカプースチンは
「C」を「C7」にして
|C7(Bass D♭) D♭|
のようになっていますね。
本来のトニック・コードに
一瞬遅らせて解決する技法の1つです。
「sus4」なども、そんな種類の技法です。
7小節目(43)の「F♯7」は
よく見ると(正確に書くと)
|F♯7(sus4) F♯7|です。
私(このブログ)は
「sus」と書くのが面倒なので、
単純に「4」と書いています。
別の書き方をすると、
「E(Bass F♯)」
「C♯m7(Bass F♯)」
でも同じ意味です。
「sus4」コードの扱い方は、
第3音の代わりに第4音を使い、
その第4音が第3音に解決します。
ここの場合(43)で説明すると
「F♯7」の第4音(B音)が
左手3拍目裏で
「A♯音」になっていますね。
ここが「F♯7」で、
その前が「F♯7(4)」になります。
なお、この「sus4」コードは
解決しない場合もあります。
1小節目と3小節目の「G7」です。
ここを正確に書くと、
「G7(4)」または
「F(Bass G)」
「Dm7(Bass G)」
などになります。
「G7」の第4音(C音)が
第3音(B音)に解決しないで
次のコードに進んでいますよね。
ここまで説明したことを
全部まとめると〜
|Dm7 G7(4)|CM7 Em7 A7|
|Dm7 G7(4)|Em7 Am7|
|E♭m7 A♭7|C7(Bass D♭)D♭|
|F♯7(4)F♯7|BM7|
以上のようになります。
では、ここで復習しましょうか。
〜〜〜〜〜〜〜
|C|C|
|C|C|
|D♭|D♭|
|B|B|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|G7|C|
|G7|C|
|A♭7|D♭|
|F♯7|B|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|Dm7 G7|CM7|
|Dm7 G7|CM7|
|E♭m7 A♭7|D♭|
|C♯m7 F♯7|BM7|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|Dm7 G7|CM7 Em7A7|
|Dm7 G7|CM7|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|Dm7 G7|C Em7A7|
|Dm7 G7|Em7 Am7|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|E♭m7 A♭7|
|C7(Bass D♭) D♭|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|F♯7(4)F♯7|BM7|
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|Dm7 G7(4)|CM7 Em7 A7|
|Dm7 G7(4)|〜〜〜
さあ、ここで全部をまとめてみますよ!
|Dm7 G7(4)|CM7 Em7 A7|
|Dm7 G7(4)|Em7 Am7|
|E♭m7 A♭7|C7(Bass D♭)D♭|
|F♯7(4)F♯7|BM7|
今なら、よ〜く分かるでしょう?
さらに、ここまでわかると、
以下の8小節が理解出来ますよ。
「C2」45〜52(8)
「C1」93〜100(8)
「C2」101〜108(8)
注意、本来「C2」は「+4」が加わり
全体で12小節なのですが、
今は8小節目まで理解出来ればいいです。
上記の3ヵ所「C1」「C2」などと
「+4」については近い内に説明します。
では上記「C1〜2」を分析して下さい。
カプースチンが理解出来るようになると
本当に面白くなりますよ。(人生が…!)
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