2009年09月05日

カプースチンの「冗談」(1)

今回は、カプースチンの「冗談」を学ぶ。

「冗談を学ぶ」と言っても、
カプースチンと川上昌裕先生が
メールで冗談を言い合っている話の報告ではない。

「冗談」という曲(Dブルース)の分析をするんだよ。

この曲は「8つの演奏会用エチュード」(作品40)
に収録されている第5番目の曲なんだ。
 コード進行は単純なんだけど、楽譜は複雑。

8つの演奏会用エチュード 作品40(プリズム版)

CDを聴くと、もっと複雑で難解だ。

自作自演集「8つの演奏会用エチュード」

「どこを弾いているのか、まったくわからない?」

いや、仮に最初わかったとしても、
         途中で必ず小節を見失うだろう。

これが、カプースチンの高級な「冗談」なんだね。

一流の高級な「冗談」に大衆はついていけない。

しかし、それを分析、解明し、解説するつもりだ。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今回は、曲の形式、全体の構成、
     そしてコード進行を途中まで学ぼう。

「8つの演奏会用エチュード」(作品40)
  第5曲目「冗談」(Op.40-No 5)
  (プリズム版 58〜64ページ)

ブルースは、1コーラス12小節で出来ている。

1小節目の上に<イントロ>と書いたら、
   各コーラスが始まる小節の上に
     「1」〜「8」の番号を書き込んでおこう。

Intro 1〜8 (8)

[1]  9〜20 (12)

[2] 21〜32 (12)

[3] 33〜44 (12)

[4] 45〜56 (12)

[5] 57〜68 (12)

[6] 69〜82 (10+4=14)

[7] 83〜94 (12)

[8] 95〜108 (10+4=14)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

出来たかな?

それでは、コード進行を書き込もう。

[ I ntro ] 1〜8

| D7 | (〜8〜)

まず「イントロ」の8小節は、すべて「D7」なので、
1小節目の上だけに「D7」と書いておけばいい。

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

1コーラス目は、ブルースの基本コード進行だ。

 [1] 9〜20(12)

| D7 | D7 | D7 | D7 |

| G7 | G7 | D7 | D7 |

| A7 | G7 | D7 | A7 |

最後の小節(20)「A7」を正確に書くと「E♭/A7」。

「A7」の上に「E♭」の3和音が乗っているよね。

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2コーラス目も基本的なブルースのコード進行だ。
1コーラス目と同じだね。 

 [2] 21〜32(12)

| D7 | D7 | D7 | D7 |

| G7 | G7 | D7 | D7 |

| A7 | G7 | D7 | A7 |

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

当たり前のブルースを2コーラス聴かせておいて、
3コーラス目から「カプースチン・マジック」が始まる。

この3コーラス目と1〜2コーラス目は、
 どこが違うのか?よく比べてみよう。

 [3] 33〜44(12)

| D7 | G7 | D7 | D7 |

| G7 | C7 | D7 | D7 |

| B♭7 | E♭7 A7 | D7 | A7 |

2小節目「G7」
古いブルース以外は、ここで当然「W7」を使う。
セッションなどでも当たり前なので覚えておこう。

6小節目「C7」
これも、よくやるかな。2小節目「G7」は必ずだけど、
   これは「時によって」ぐらいの感じかな。
サブドミナント・マイナー「Gm6」の代理コードだね。

さて、3コーラス目の注目するべきコードは、
   9小節目「B♭7」と、10小節目「E♭7」だな。

「E♭7」は、「A7」(ドミナント)の代理コードだ。

ドミナント♭7・コードの減5度上のドミナント♭7が
代理コードになる。

なぜ?

♭7コードの特徴である大切な音(三全音)、
     3と♭7が共通だからだ。

「A7」の3度(♯ド)、♭7度(ソ)

「E♭7」の3度(ソ)、♭7度(♭レ)

まったく同じ音だよね。異名同音だけれど。

次に「B♭7」は、何だろう?

何でこんなところで使えるの?

これは「A7」(ドミナント)に行くための「E7」だね。

セカンダリー・ドミナント(第2のドミナント)の1つ。

ジャズでは、ファイブ・オブ・ファイブ。
クラシックの和声学では、ドッペル・ドミナント。

その「E7」の代理コード(減5度上)が「B♭7」なんだ。

日本では、この関係(ドミナントの代理)のことを
俗に「裏コード」って言うんだ。

話を整理しよう。

ここの本来のコードは

| E7  | A7 | D7 |

|U7 |X7|T7|

まず「A7」を代理コードにする。

|E7 |E♭7|D7|

次に「E7」も代理コードにする。

|B♭7|E♭7|D7 |

「裏のドミナント・モーション」が出来上がりだ。

カプースチンは頻繁に裏コードを使うんだよ。
 そして、みんなの「裏をかく?」わけなんだ!
posted by テル先生 at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 「8つの演奏会用〜」op.40 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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