「カプースチン・リターンズ!」
08.6.5
<CD発売記念特別企画!>
テル先生の「カプースチン楽曲分析」
<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)
楽譜は、カプースチン「ピアノアルバム 1」で、
出版社は「プリズム」(¥2.900+税)。
☆
「楽曲分析」の第1歩は
「曲の形式」と「全体の構成」
を調べるところから始まります。
区切りの小節の上に
[A1][B2]などを書き込みます。
あなたは[A1][B2]などを四角で囲って下さい。
(四角で囲えないので[カッコ]にしています)
曲全体のキーは、Cm(ハ短調)です。
<前奏>
[Into.A]1〜8(8)
[Into.B]9〜16(8)
<テーマ>提示部
[A1]17〜24(8)
[B1]25〜32(8)
[A2]33〜40(8)
[B2]41〜54(14)
<変奏1>
[A1]55〜62(8)
[B1]63〜70(8)
[A2]71〜78(8)
[B2]79〜86(8)
<変奏2>
[A1]87〜94(8)
[B1]95〜102(8)
[A2]103〜110(8)
[B2]111〜118(8)
<変奏3>
キーG♯m(♯5つ)に転調
[A1]119〜126(8)
[B1]127〜134(8)
[A2]135〜142(8)
[B2]143〜152(10)
<テーマ>再現部
キーCmに戻る
[A1]153〜160(8)
[B1]161〜175(15)
<Coda>
[C1]176〜183(8)
[C2]184〜187(4)
[C3]188〜191(4)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[C1]は、[Into.A]のモチーフ。(比べてみてね)
[C2]は、[A1]最初のメロディーを利用している。
[C3]は、キーCmの曲がキーC(ハ長調)で終る。
☆
次回からは、1小節ずつ
コード進行を書き込んでいきます。
またまた大変な日々がやって来ますが、
疲れないように、のんびりやっていきましょう。
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「ブルー・ボッサ」分析(2)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」
<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)
導入部(イントロ)です。
いつものように以下のコード進行を
楽譜に書き込んで下さい。
♪導入部(イントロ) (1〜16)
♪1〜8(8)
|Cm|G7|Cm7|Cm7|
|Cm7|G7|Cm7|A7 A♭7 G7|
♪9〜16(8)
|F7 |F7 |A♭m7|A♭m7|
|Cm|Cm (G7)|Cm|G7|
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「ブルー・ボッサ」分析(3)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」
<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)
まず原曲の譜面を用意して、
メロディーを調べます。
原曲と、カプースチンの楽譜を見比べて、
「どこを変えているのか」を調べます。
次に、原曲のコード進行を覚えます。
[A]
|Cm |Cm |Fm7 |Fm7 |
|Dm7(♭5) |G7 |Cm |Cm |
[B]
|E♭m7 |A♭7 |D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) |G7 |Cm |Cm |
これが原曲のコード進行です。
[A]8小節、[B]8小節、合計16小節ですが、
もう1回繰り返して、32小節が1コーラスです。
[A1]8小節
[B1]8小節
[A2]8小節
[B2]8小節
これで合計32小節(1コーラス)になりますね。
このコード進行を、
カプースチンの楽譜に書き込んでいきます。
<前奏>16小節ですから、
<テーマ>は、17小節目から始まっています。
17小節目の上に Cm と書き込みましょう。
ここから、いよいよ分析が始まりますが、
話は、そう簡単にはいきません。
コード進行を
ただ機械的に書き込んではダメですよ。
なぜなら、
カプースチンや、ジャズ・ピアニストは、
原曲を少しずつ変えているからです。
例えば、テーマ3小節目(19〜20)の「Fm7」。
よく見ると、「ミ」(ナチュラル)や、「レ」がある。
「あれ、じゃあ、コード・ネームは…?」
もう1つ。
テーマ5小節目(21)の「Dm7(♭5)」。
この小節全体をよく見ると、
「ファ」もあるけれど、「♯ファ」もある。
「じゃあ、コード・ネームは…?」
というように、
1小節ずつ考えながら書き込んでいく。
最後までやると、10年ぐらい掛かる人もいる?
まあ、知的ゲームみたいなもので、
すごく楽しいものですよ。
カプースチン先生が、謎解きの出題者。
「君たち、私の出した謎を解けるかね?」
この謎を解き明かすために、
あなたが挑戦するゲームなんです。
「え?最初から、あきらめる」ですって…。
そ、そう言わずに、少しやってみて下さいよ〜。
「本当に、楽しいんですから…!」
(いや、ほとんどの人は頭が痛くなるかも…?)
「ちょっとでもいいから、ぜひ、1度やってね」
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「ブルー・ボッサ」分析(4)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」
<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)
<テーマ>1〜2小節目「Cm」
(117ページ、小節番号17〜18)
この2小節のコードは「Cm」ですね。
機能は「トニック」。
ところが、17小節、3拍目の裏拍、
メロディー「レ」をよく見て下さい。
ここだけは、一瞬ですが「B dim7」。
機能は「ドミナント」。
なぜだか、わかりますか?
「Cm」に行くための「ドミナントは?」
その答え(ドミナント)の基本コードに
「♭9」を加えて下さい。
そして、ルートを取る(消す)。
残った音(コード)は?
これで、わかりましたね。
と言っても、初心者には「…?」
かもしれませんが。
このような細かいコードは、
一時的にメロディーに付けるコードなので、
コード進行として書く必要はありません。
カッコして、(B dim7)と書いておけばいい。
コード進行は「Cm」が2小節でいいのです。
☆
<テーマ>3〜4小節目「Fm」
小節番号19〜20の2小節は「Fm」です。
「Fm」と書いた時は「Fm7」ではなく、
「Fm6」でしたね。
20小節、右手の上2声「レ、ファ」、
左手3拍目の裏「ド、レ」。
これが「Fm6」の決定的な証拠です。
さて、19小節、3拍目の裏拍、
メロディー「ソ」のコードは何?
あなたには、すぐわかるでしょう?
さっき「Cm」で説明しましたよね。
同じ事を「Fm」に置き換えてみれば…?
「Fm」に行く「ドミナント」は?
「♭9」を加え、ルートを取る。
残ったコードと、楽譜を比べてみて、
音が一致すれば正解です。
合っていたら「おめでとうございます!」
「分析って、わかると楽しくありませんか?」
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「ブルー・ボッサ」分析(5)
テル先生の「カプースチン楽曲分析」
<ケニー・ドーハムの
「ブルー・ボッサ」によるパラフレーズ>
(Op.123)
前回のように細かい部分を解説すると
なかなか先に進めません。
そこで、今回は細部の説明を省略して
大体のコード進行だけを書きます。
★<テーマ> 17〜54
[A1] 17〜24(8)
[B1] 25〜32(8)
[A2] 33〜40(8)
[B2] 41〜54(14)
★<テーマ>コード進行
♪[A1] 17〜24(8)
|Cm |Cm |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) *A♭7 |G7 |
|Cm |Cm7 Dm7 |
*「A♭7」=D7(♭5)[Bass A♭]
♪[B1] 25〜32(8)
|E♭m7 |A♭7 |D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 |
|*Dm7(♭5) G7 A♭7 G7 |
|Cm7 |D7(♭5) G7 |
*半拍分、前小節から始まる。
♪[A2] 33〜40(8)
|Cm |Cm |Fm |Fm |
|Dm7(♭5) |G7 |
|Cm7 Dm7(♭5)[Bass C] |
|*G7(Bass B) B♭m7 A7 |
*1拍分、前小節から始まる。
<37>3拍目裏から「A♭m(M7)」
<38>2拍目から「A♭m7」が1拍半。
♪[B2] 41〜54(14)=(6+8)
|E♭m7(Bass A♭) |A♭7 |
|D♭M7 |D♭M7 |
|Dm7(♭5) G7 |Dm7(♭5) G7 |
|Cm7(♭5) |F7 |B♭m7 |E♭7 |
|A♭6 |A♭ |D♭M7 |
|*Dm7(♭5) G7 |
*1拍分、前小節から始まる。
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