2009年09月08日

「ソナティナ」Op.100(3)

今回は「ソナティナ」の詳細な解説をしましょう。

楽譜は、
カプースチン
「ピアノアルバム 1」
  (プリズム版) 66ページ〜71ページ

まず、<提示部>からです。

 【A1】 1〜8(8)<第1主題 1>

| G | C/G C♯dim/G | G | G7 |

| C7 | G | Am7(♭5) D7(4) D7 | G |

<1〜3小節目>

最初の1〜3小節目までのコード進行は、
  本来なら以下のようになります。

| G G7/B | C C♯dim | G/D |〜

ジャズで必ず使われる誰でも知っている進行です。

ベースが「ソ、シ、ド、♯ド、レ」
       というラインを弾きます。

ところが「ソナティナ」では、
メロディーに以下のラインがきていますね。

  |ソ、シ|ド、♯ド|レ|

これでは、ベース・ラインと重複するので、
 私はベースを「G」のペダルにして〜

 | G | C/G C♯dim/G | G |

  というコード進行を書きました。

ちょうど左手メロディーに出て来る「ソ」の音が
 低音で「Gペダル」のように聞こえなくもない?

ですから、
これは私のアレンジになってしまうかもしれません。

わたしは、
ジャズのピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)で
演奏した時のことを想定して「G」のペダルにしたのです。

次の話は、逆説的になりますが、

「メロディーとベースをあえて重複させてもいい」

という考えもあります。
(人によって、または時と場合によって違います)

そうすると、この3小節の正しい分析としては

見たままを、そのまま書くなら

| G | C C♯dim | G |

    または、
 
| G G/B | C C♯dim | G/D |

これが典型的なコード進行ですから、
ベースと重複しても、これが1番良いかもしれません。
   (「G」ペダルにするか、悩むところですが)

1小節目の「G/B」は、
普通なら「G7」がよく使われますが、
カプースチンは意図的に使いませんでした。

なぜ?

次の4小節目で登場させる「G7」を
効果的に聴かすために、あえて封印したのです。

それで
1小節目には「ファ=♭7」がありませんので
      「G/B」になります。

3小節目「G/D」のベースは指定されていませんが、
前の小節でベースが「C(ド)→C♯(♯ド」と来れば
 次は必然的に「D(レ)」に行くことになりますので
   「G/D」と書くのですね。

ついでに「アレンジの話」になってしまいますが、

| G | Am7 A♯dim | G/B  | でも合いますし、

         さらに

| G Em7 | Am7 A♯dim | G/B | でも合いますよ。

この2つのコード進行だとメロディーと重複しないで、
同じような効果があります。弾いてみて下さいね。

          ☆

たった3小節にコードネームを書くだけなのですが
   こうやって遊ぶと楽しくありませんか。

「どれを選ぶか」は、実際に弾いてみて、
あなたが1番いいと思うコード進行を書き込んで下さい。

あるいは、全部書いておいて、同じメロディーでも
 いろいろなコード進行が付けられることを学んで下さい。

     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<4小節目>

ここは、メロディーに「♯ファ、ソ」しかありませんね。

「♯ファ」なのだから、コードは「GM7」では?
     と思った人がいるかもしれませんね。

ここは完全に「G7」なんですよ。

なぜ、わかるのか?

前小節(3小節目)最後の音を見て下さい。

右手の「ファ」だけでもわかるのに、さらに
左手に「シ」まで書いてくれていますよね。

ジャズでは、次の小節の音を半拍前に出すのは常識。

分析する時、その小節内のすべての音を調べると同時に
  前後の小節の音も調べることがすごく大切なのです。

この4小節目の場合を例にすると、
前の小節にある最後の「シ、ファ」は「G7」の「三全音」。

さらに次の小節(5小節目)に「C7」があるので、
     その「C7」に行くための「G7」なのです。

ですから4小節目のメロディー「♯ファ」は、
「ソ」に解決している装飾的な音(アプローチ・ノート)です。

以上の理由で、この小節は「G7」であることが確定します。

<小節内の音と前後の小節からコードを判断すること>

ぜひ覚えておいて下さい。

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<5小節目>

「C7」=下から「♭7,9,3、5」

ジャズでは、ごく普通に使います。

<6小節目>

「G」=下から「3,5,6,1」

ジャズでは「♭7コード」でない限り、
   「G」と書いてあったら
「6」や「M7」を入れるのは当前です。

この小節で注目すべきは
  4拍目の「Am7(♭5)」ですね。

<7小節目>

次の小節のコードを半拍前に出すことを説明しましたが、
ここでは「1拍前」に使っています。

「このコード<Am7>じゃないの?」
   と思う人がいるかもしれませんが、
      右手メロディーに「♭ミ」がありますよね。

左手コード「ラ、ド、ソ」と、
 右手メロディー「♭ミ」を合計すると
  「ラ、ド、♭ミ、ソ」で
  「Am7(♭5)」が確定するのです。

この7小節目の「レ、ソ」は?

クラシックでよく出て来るドミナント「D7」の前に置く
「G/D」(つまり「G」)では?と思った人いますか?

これは左手「レ、ソ」、右手「ラ、ド」を合計すると、
「レ、ソ、ラ、ド」で「D7(sus4)」に確定されます。

ここは位置的にトニックの前ですからドミナント。

次にある「ド、♯ファ」が本当の「D7」です。

<8小節目>

この小節はコードがないように見えますが、
よ〜く見るとありますよね?

前小節の4拍目裏「シ、レ、ミ」が「G」です。

「半拍前に出すのは当然」という話しましたよね。

押さえ方は6小節目の「G」と同じですが、
 右手メロディーで「ソ」を弾くので、
   左手は下の3声だけ弾けばいいのです。

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

疲れましたか?
この8小節のコード進行について
まだ言うことがあるのですが、もうやめましょう。

最後に、少しだけメロディーについて。

4小節目の「♯ファ、ソ」を3回、5小節目も同じ。

そして、6小節目も同じように…と思わせておいて、
2回しかやらない。そして、すぐ「レ、♭ミ」2回に…。

これも、最近話しました「カプースチン・マジック」。

同じものを2回聴かせておいて、
「次もやるよ」と見せ掛けて途中でころっと裏切る。

コード進行、メロディー、リズム、あらゆるところで
  カプースチンはワナを仕掛けてくるんですね。

それに、コロッと騙されてしまうのも、また快感で、
  カプースチン音楽の変則的楽しみ方なんですよ!

いつも騙されて喜んでいるテル先生って、
     「ちょっと変…?」
posted by テル先生 at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 「ソナティナ」op.100 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする