ブルースを発展させる方法の勉強になります。
チャーリー・パーカー「コンファメイション」も登場。
「8つの演奏会用エチュード」(作品40)
第5曲目「冗談」(Op.40-No 5)
(プリズム版 58〜64ページ)
前回は、3コーラス目まで学んだので、
今回は4コーラス目から始めます。
実は、3コーラス目と4コーラス目は
同じコード進行なんです。
ここで、前回までの復習をしておきましょう。
1〜2コーラス目は、同じコード進行でした。
[1] 9〜20 (12)
[2] 21〜32 (12)
| D7 | D7 | D7 | D7 |
| G7 | G7 | D7 | D7 |
| A7 | G7 | D7 | A7 |
ブルースのもっとも基本的なコード進行です。
これに対して
3〜4コーラス目は、発展させた進行になります。
[3] 33〜44 (12)
[4] 45〜56 (12)
| D7 | G7 | D7 | D7 |
| G7 | C7 | D7 | D7 |
| B♭7 | E♭7 A7 | D7 | A7 |
さて、1と2が同じ、3と4が同じ、ということは、
5と6コーラス目も、ひょっとして同じかな?
「どう思いますか?」
わかりますよね。ファンの人は…。
同じものを、2回ずつ(わざと)見せておく。
そして、
お膳立てが調ったところでマジックが始まる。
「ああ、ワクワクするなあ」
今回は、どんなマジックを見せてくれるのかな。
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5コーラス目のコード進行を調べましょう。
[5] 57〜68(12)
| D7 | D7 G7 | D7 | E♭m7 A♭7 |
| G7 | G7 | D7 | D7 Bm7 B♭7 |
| A7 | G7 | D7 | A7 |
「あれ〜、ほとんど基本に戻っているね」
4小節目、本来は「D7」ですが、
「A♭7」は「D7」の代理コード。
(前回学びましたね。裏コード)
「E♭m7」は、「A♭7」のUm7 です。
表のUm7 X7 「Am7 D7」に対して、
裏のUm7 X7「E♭m7 A♭7」になります。
カプースチンは、裏のUm7 X7 もよく使います。
8小節目は、次の「A7」に行く「Um7 X7」。
「Bm7 E7」ですが、「E7」を裏にして「B♭7」
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5コーラス目で単純化した後、
6コーラス目は、いったいどうなるんでしょうね。
単純化?複雑化?どちらだと思いますか?
な、な、なんと、両方なんです!
相反するものを両立させるなんて
はたして本当に出来るのでしょうか?
[6] 69〜82(10+4=14)
このコーラスは12小節ではなく
14小節になっています。
11小節目「D7」が4小節引き延ばされています。
| D7 | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 | Am7 D7 |
| G7 | G7 | D7 | D7 |
| A7 | G7 | D7 | D7 | D7 | D7 |
ここで注目すべき進行は、1〜4小節目ですね。
これが複雑化。
それに対して、5小節目からは
1〜2コーラス目の基本の進行に戻しています。
これが単純化。
さて、1小節目の「トニック」から
5小節目「サブドミナント」へ行く有名なコード進行。
チャーリー・パーカーの「コンファメイション」
を知っていますか?
セッションでよく演奏するパーカーの代表作です。
ジャズを演奏する人なら必修課題曲として有名。
「Confirmation」 Charlie Parker
| F | Em7(♭5) A7 | Dm7 G7 | Cm7 F7 | B♭7 |〜
この進行を「キーF」から「キーD」に移調します。
☆パーカー「コンファメイション」
| D | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 (E7) | Am7 D7 |
☆カプースチン「冗談」
| D7 | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 | Am7 D7 |
よ〜く見て下さいよ。
3小節目の「E7」がないだけですね。
パーカーの曲も出版社によっては
「E7」がない譜もありました。
とにかく、
この進行は有名なので12キーで練習して
いつでも弾けるようにしています。
カプースチンは、この4小節を活かして
その後は基本のコード進行に戻していますね。
しかし、楽譜やCDでわかるように、
コード進行は単純化しても、他の要素、リズム、
左手の伴奏で変化を付けて展開させています。
最後の「D7」を4小節に引き延ばしたのは、
アドリブ・コーラスの終わりであると同時に、
次の7コーラス目からテーマに戻るので、
イントロ的な意味も持たせています。
本当のイントロ(1〜8)は8小節でしたから、
ここでは半分の4小節にしたのでしょう。
それも、
カプースチンがよく使うトリッキーなリズム遊び。
これこそ本当にマジックみたいじゃないですか!
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さて、アドリブ・コーラスを盛り上げておいて、
7コーラス目でテーマに戻り静かに終わる。
…と思ったら、とんでもない、とんでもない。
私たちは、またも裏をかかれることに…。
う〜ん、カプースチンを相手にする時は
絶対に油断しちゃダメ。
この続き、お楽しみに!